

中井チューンとは?

フィールドテスター・中井一誠が船長を務めるタイラバ船「海竜」で、日々の経験から生み出された極細ネクタイの組み合わせによるユニット。かつて釣れるタイラバの常識がまだボリュームと強波動だった頃、その真逆をいく「極細のネクタイ」の実力を知らしめたのが、同氏の代名詞ともいえる「中井チューン」なのだ。

―今や多くのタイラバファンにとって欠かせない「中井チューン」。その発想はどこから生まれたのでしょうか?

中井『僕の普段の釣り場はマダイ釣りが盛んな紀淡海峡です。そして中井チューンを含めた、今の自分の釣りに繋がる最初のレクチャーをしてくれたのは、地元のサビキ釣り漁師でしたね』
中井『このあたりの漁師がやるのは、7~8mの仕掛けに枝バリの付いたタイサビキ。マダイだけでなく、アジやメバルも同じようにサビキ仕掛けでねらいます。実際は漁師だけでなく、プレジャーボートでもやる人が多い、いわばご当地釣りなんです。それで自分もある時期、このタイサビキを相当やり込みました。薄いビニール片の擬餌バリで釣るんですが、マダイはその色をものすごく見切ってくる。ほんのちょっとした色の違いで、食ってきたりこなかったりするんです』
中井『それまでは自分も、魚は色なんか分からんやろう、だいたいの色でいいやんって思っていました。ところが、同じ釣りをして港に帰ってくると、漁師さんと自分で釣果が全く違う。普通、魚が釣れないと釣り人ならハリスを細くしたり、ハリを小さくして挑むわけですよ。でも漁師は元々掛かった魚は絶対に取るという考え方だから、ハリスは一切細くしていない。なのにそれをしている僕のボロ負けなんです。同じポイントを流したあとで、「オマエどうやった?」と言われて、「これくらいは釣れた」って答えると、「それだけ? どんな仕掛け使ってるねん。明日行ったらこれ使え」ってサビキを渡されて(笑)』
中井『それで、翌日に沖に行って釣りをしていると、電話がかかってきて「今付けろー」って。それで実際にもらったハリに替えると入れ食いなんですよ。その時に自分の使っているサビキの色も同じようなピンク色なんですよ。でも白い紙の上に乗せてみると、漁師さんにもらったやつのほうがちょっとだけ色が薄い。「え、これなん、この違いなん?」ってね』



―とても面白いですね。サビキだからタイラバに比べてはるかに薄いのは当然として、色もそんなにシビアなんですね。

中井『そうですね。で、その時はその色だった。するとそこからは調子に乗ってしばらくは釣れるんですよ。でもある日、また釣れない時が来る。紀淡海峡は潮が速いんで、海の色がころころ変わるんです。上りと下りでも変わる。それで「オマエ今日はどの色使ったん?」って言われて、「これとこれやん」と答えると、「今日はそれ食わんぞ。潮の色覚えなあかん」って。それでしばらく、水温計の上1mくらいのところに目印になるビニールを付けて、毎日のように5m下ろすというテストを考えて実践してみました。それで消えた、消えない、というのを実際に体感しながら海の色を覚えていったんです』
―サビキの色が消えてしまうとダメなんですか?

中井『いや、消えるんがいい。目立ちすぎるものはあかんかな。ただ水深にもよります。深い所はそんなに気にしなくていい。漁師が気にするのもある程度の浅場まで。それに朝マヅメ、夕マヅメ、その時の海水温、濁ってきたらどうしたらいいとかいろいろある。「中井チューンが釣れる」って言うけれど、あかん時もあるんですよ。たとえばディープタイラバで、強い波動で食わすほうがよい時ですね。でも、実は魚が食い渋っている時でも、弱い波動に反応する時と、逆に食い渋っていて強い波動にだけ反応してくる時がある』
中井『マダイは細くてヒラヒラするものに反応します。自分は毎日のように船に乗っていて、アタリがない日も魚探には魚が映っているから、なんとか食わせられないかとあれこれするわけですよ。で、中井チューンが出来上がる前、まだタイラバはボリュームがあって波動が強いほうがいいというのが常識だった頃、他社には若干薄くてヒラヒラするものもあったけれど、タイサビキの経験もあるから、自分で手を加えてそれよりもさらに薄くしてみた。それで自分も釣りましたし、お客さんが釣れていない時に、これ使ってみてくださいとハサミで細く切り出したものを渡すとやっぱり釣れる。そうやって徐々に原形が出来上がっていきました』


―色と動きの両方が肝心なんですね。

中井『そうですね。あとは地元でサビキ釣りを覚えたことのほかに、もう1つ、漁師さんに教わったことがありました。それは初めて徳島の鳴門の漁師さんのところに行って、一緒に船に乗せてもらった時だったんですが、一緒に釣りをした初日にコテンパにやられたことがあるんですよ。ビシカブラの上手な船頭の船に2人で乗って、僕のほうから先にポイントに入っているのに、船頭のほうが〝また来たー〟ってどんどん釣る。その時にもいろいろ教えてもらってね。それが「中井チューン」を含めた今の自分の釣りにものすごくプラスになりました。紅牙ももう発売している時で、僕もそれなりに自信はあったし、すでにシンプルなタイラバをずっと使っていた。それで結構アタリが出るのも分かってねらってたんですけど、横でボコボコにやられました(笑)。思わず「なんやねん!」ってね。で、言われたとおりにネクタイをもっとシンプルにしてやるとめちゃめちゃ釣れる。すごいなこれって。その漁師さんが使ってたのは、ほんまに細いタバコくらいの長さで、幅は5㎜かもうちょっとの細いオレンジ色のゴム。それを2本とか3本とか付けているだけなんですよ』
―まさに中井チューンの発想ですね。

中井『それに加えて、その頃はオモリも派手じゃないですか。そうしたら、オモリは目立たせたらあかん、魚がオモリを噛んでるって。おまえらはオモリが派手すぎるって。オモリよりハリ、噛ませたいところを目立たせる。その原点もその時に教わりました』
中井『あとはその時ね、潮がえらく濁ってたんですよ。そうしたら普通、目立つように少し派手なネクタイを付けたいじゃないですか。でも逆やと。濁ってても目立たんほうが食うんやと。僕のネクタイも当時の普通のものから比べるとかなりシンプルだった。それでもやられました。まぁ、明くる日はいろいろ調整して、ちゃんとやり返しましたけどね(笑)』
中井『そういうのを全部自分の中で消化して、サビキの漁師さんに地元で教わったことも頭にあったから、全体の考え方がスーッと入って来て、出来上がったのが「中井チューン」であり、目立たないヘッドの選択であり、今の自分の釣り方なんです』


―今、ネクタイの色はどうやって選んでいるんですか?

中井『潮が澄んで光が差し込んでくると、マダイは色をものすごく選んでくる。浅い釣り場で潮が澄んでいれば、やはり濃い色は見切られやすい。なのであまり派手なやつよりも、目立ちすぎないトーンのものや半透明系のネクタイのほうが強いですね。自分もオレンジ系や赤系は基本色なのでよく使いますが、その時にオレンジそのものとか、ピンクそのものとか、濃い色をあんまり入れると、目立ちすぎるんか警戒されます。あとは経験則。産卵期ならチャートがやっぱり釣れる。ケイムラ系は雨の日や曇りの日に入れる。グロー系はマヅメ時。グリーン系は深い時に使いますね。シルエットがはっきりしやすい赤、緑、黒などは深場。ゼブラは、理由はよく分からないけれどよく釣れる(笑)。ただ、たとえばイワシにマダイが付いている時は、自分もベイトフィッシュを意識してゴールドとかオーロラみたいな色を1色入れますが、その時にだいじなのは色より巻きスピード。色は気にしすぎないほうがいい時もあります』
紅牙ユニットα中井チューンサクサス / KP
中井一誠が秘かに使っていたチューンナップユニット。 中井一誠が船長のタイラバ船「海竜」で日々の経験から生み出された極細ネクタイの組み合わせによるシークレットユニット。半分にカットしたストレートカーリーとストレートを組み合わせ、特に食い渋った時に真価を発揮することを中井自らが見出し製品化。「お客様に絶対に釣らせたい」という、船長・中井の渾身のユニットである。
「中井チューン」
シチュエーション別チョイス
パイロット
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紅牙オレンジ&レッドラメ
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レッドラメ&ゴールドラメ
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レッドラメ&オレンジゼブラ
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オレンジラメ&レッドゼブラ
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オレンジゼブラ&レッドラメ
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紅牙オレンジ&レッドゼブラ
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ゴールドラメ&レッドゼブラ
濁り潮
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オーロラ・オレンジラメ
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ゴールドラメ・オレンジラメ
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ケイムラクリア・オレンジラメ
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ゴールドラメ・オレンジゼブラ
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紅牙オレンジ・
ケイムラZオレンジ -
レッドラメ・
ケイムラZオレンジ -
オレンジラメ・
ケイムラZオレンジ -
レッドラメ・ケイムラZレッド
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オレンジラメ・
ケイムラZレッド
イソメ虫パターン
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レッドゼブラ・チョコラメ
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チョコラメ・海藻グリーン
乗っ込み
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ゴールドラメ・マズメチャート
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紅牙グリーン・紅牙ピンク
澄み潮
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海藻グリーン・アミラメ
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海藻グリーン・蜜柑ラメ
ディープ
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レッドラメ&ケイムラクリア
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レッドゼブラ・グリーンラメ
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マジカルブラック・
レッドゼブラ -
グリーンラメ・レッドゼブラ
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マジカルブラック・レッドラメ
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レッドラメ・マジカルブラック
雨・濁り潮
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ケイムラオレンジ&
ゴールドラメ -
ケイムラオレンジ&
ケイムラクリア -
ケイムラオレンジ&レッドラメ
イワシ・タチウオベイト
-
ゴールドラメ・
ケイムラZレッド
まずめディープ
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ケイムラクリアラメ&
ゼブラグロー -
オレンジラメ・ゼブラグロー

中井 一誠 -Nakai Issei-
タイラバ激戦区である和歌山県加太で船長として長年活躍しているフィールドテスター。自身の経験・実績に基づくロジック展開で、紅牙を通じてタイラバ界を牽引している。「中井チューン」の産みの親。