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地引網体験レポート~生きた魚に触れ、
魚の棲む海辺の環境保全を学ぶ一日~

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地引網:台舟

実施期間3月~11月

神奈川県中郡大磯町

http://www.1-23.jp/daifune.html

地引網だけではなく浜辺のクリーンアップも

 

創立40年を迎え、ダイワヤングフィッシングクラブとして「未来をささえる子どもたちに」に様々な試みをもって、「地球を感じ、いのちと出会い、のびのび育つ。」をより多くの方々に体験頂くためのイベントを開催しております。

去る10月22日(土)、神奈川県大磯海岸でD.Y.F.C親子地引網体験&ビーチクリーンも従来と異なる新たな試みとして、多くの方々の応募もあったことから単なる釣り体験に留まらず、多様の自然体験に対する要望の高さを感じるものとなりました。 さて、このイベントこれまでのフィッシングスクールと一線を画した主旨の下、私たちの生活と自然が密接な関係にあることを体感することを目的に、地引網で魚を獲り、それら魚たちが棲む海の環境保全を親子で考えて頂けるようビーチクリーンも計画をしました。 もちろん、地引網では“生きている魚”を目の当たりに、手で触って体感することを目的としていますが、人間の日常的なゴミが川や海を伝わって海辺の動植物に与える影響を報道でも耳にしたことがある方も多いことでしょう。そのためにもビーチクリーンで自ら海辺のゴミ拾いを通して、そんな微細なゴミがたくさんあることが実感できます。この微細なゴミの中には、自然界に大きなダメージがあるされる大きさ5㎜以下のプラスチック=マイクロプラスチックも浜辺でも見ることができます。 これらマイクロプラスチックは、自然界では分解されないため海で生活する動物たちが誤食してしまい、甚大な生命の危険すら報告されているのです。このような地球規模の問題も、微力なビーチクリーンによってゴミの根絶ができないものの、少しでも減らす努力がご理解いただけるものと考えています。 我々が何の気遣いもなく、ポイッと捨てるゴミが自然界の営みの中で微細まで砕かれると、生物にとっては生命に関わる大きな事態になっていることも気づくことが多いのではないでしょうか。日常では見えない自然界の問題も、D.Y.F.Cでは子供たちに伝えたいことからも今回のイベントを実施しました。

当日は広い浜辺のため、安全確保でオレンジキャップ

地引網の後は、ビーチクリーンです

子どもたちも懸命にゴミ拾い

皆さん地引(曳)網はご存知でしょうか?

地引網は、網を舟で魚が集まりそうなポイントに広げるように設置し、岸へロープを戻した時点で準備完了です。そのロープの両端を人力で引いて魚を捕獲するという伝統的な漁法の一つです。参加されたほとんどの子どもたちが地引網は初挑戦。いよいよ網も設置され、皆さんが力を合わせ網を引くだけ。通常の釣りならば、対象魚を想定したした中で狙う訳ですが、地引網の場合には、その日の魚の回遊によって何が獲れるものかもお楽しみなのです。 今回お世話になった大磯海岸地曳網「台舟」は江戸時代から150年続く伝統漁法を受継ぐ一軒・・・なのです。綱引のように力任せでロープを引くものかと思えば要領も違って、 参加された全員がロープを波打ち際から浜の奥へと引き上げ、また波打ち際へ下りては引き上げる繰り返し。練習もない中、参加された皆さんが協力して順序よく流れるように沖から岸辺まで網を手繰り寄せます。網は水の抵抗もあって、「網、重いよ~!」とニコニコ顔の子どもたちの声。魚の入った網が波間に見える距離まで寄ると、大人たちから「頑張れ、ガンバレ。もう少し~!」の声が。さらに1~2順、網を引くと、目印の黒いフロートが波打ち際まで上がり、徐々に網を閉じるように、慎重に次の目印・黄色の水中フロートが上がりいよいよ魚が納まる網が現場をサポートする地引網業者の方々の手にしっかりと握られました。さあ、どんな魚が網に入っているものか。ドキドキの瞬間です。遠めに魚を見つけた子どもたちは大興奮。触っては危険な魚も網に入っている可能性もあって、一旦は地引網の業者の皆さんに魚の仕分けをお願いしました。

地引網で獲れた魚は・・・

地引網で獲れた魚は、ウルメイワシ、メッキ(ギンガメアジの幼魚)、イトヒキアジ、セイゴ(スズキの子供)ヘダイにゴンズイ、そしてカタクチイワシの幼魚である大量(?)のシラスがバケツいっぱい獲れました。おそらく数千匹、このシラスは他の魚たちの餌になる魚。このシラス(イワシ)が獲れるのは海が豊かな証拠です。そしてこれが自然相手の醍醐味と言えることでしょう。
また、最後には参加者全員で、海辺の砂に隠れたゴミを拾うビーチクリーンにも取り組み、「キレイに見えても、小さなゴミってたくさんあるね」「小さなゴミ、魚が食べたら大変、かわいそう」など親子で語り合いながら、熱心にゴミ拾いをする子どもたちの姿が印象的でした。日常ではあまり触れることがない自然に生きる魚を目の当たりに、その魚たちの棲む海を守ることの大切さ、生きものを思いやる気持ちを知ってもらいたいと実施した今回のイベント。豊かな自然と、そこに生きる様々な生命を五感で体験することから、人が作るゲームでは決して味わうことができない驚きや喜び、発見や感動を子どもたちは経験したようです。

様々な魚が網に入りました

子どもたちは魚の説明に真剣な眼差し

ウルメイワシに大満足