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漫画「釣りキチ三平」の作者 矢口高雄

「釣りキチ三平」作者矢口 高雄

「子どもたちは自然と対話すると成長する。

釣りはそのすべてを体感できるんだよ。」 矢口 高雄

日本そして世界を舞台にさまざまな魚に挑む漫画「釣りキチ三平」。

釣り人にとっては伝説の漫画だが、ダイワヤングフィッシングクラブ(以下D.Y.F.C)とは、とても深い関係にある。

1976年のクラブ発足から約18年間、「釣りキチ三平」がD.Y.F.Cのイメージキャラクターで、会員誌の他にカードやワッペンにもデザインされた。

「釣りキチ三平」は、漫画を通して子どもたちに釣りの醍醐味を教えてくれた。

「クラブ発足の時代、釣りは大人の趣味でした。子どもは野山で小鮒を釣る程度で、ロッドを買ってルアーを投げるなんてなかったね。だからD.Y.F.Cという子どものクラブが出来ると聞いたとき、スゴくいいことだと思いましたね。」

矢口 高雄

矢口 高雄

漫画家。代表作は「釣りキチ三平」。30歳で銀行マンから転身、漫画家を志し秋田県より上京。大きな麦わら帽子が特徴の少年・三平が、日本そして世界でさまざまな魚釣りに挑戦する漫画「釣りキチ三平」は、1973年から週刊少年マガジン(講談社)で連載され大人気となった。

当時の子供たちに「釣りキチ三平」が与えた影響は計り知れないが、先生自身はどんな子供だったのだろう?

「釣りばかりでしたよ(笑)。工夫して準備するのが好きで、竹やぶで幼虫を探したり、養蚕していたカイコの中から規格外のものをエサにしたり・・・。クリムシという毛虫から自分でテグスを作ったこともありますね。今はマニュアルも道具も揃っていて、“考える釣り人”が減っている気がしますが、本来の釣りは自分たちで考えて試すもの。釣り場での魚との駆け引きはもちろんですが、釣るまでの準備こそ本当は面白いのです。」

準備から釣る瞬間まで、釣りを通して体感することは想像以上に多い。

「いまは、子どもを水辺に近づけない考え方が主流ですが、子どもたちが自分の命を守る知恵や工夫を習得するためにも、釣りという遊びは大事なものです。子どもは成長期にこそ、自然と触れ合うことが大切。水の冷たさや土の感触を肌で知り、小鳥や虫の声を聞く。生き物と向き合うことで殺生の意味も分かるし、環境についても考える。人が作ったルールの中で楽しむゲームやスポーツとは違って、釣りは自然が相手。自分の考えが及ばない相手と向き合って、最良の答えを見つけていく。この自然との対話が人間の成長に欠かせないのです。釣りは生きている魚と直接やり取りする。子供の成長にはとてもいいものだと思っています。」

「釣りキチ三平」は、当時連載中だった「週刊少年マガジン」とのコラボレーション企画として、1976年、クラブ発足と同時にD.Y.F.Cのイメージキャラクターとなる。キャラクターが描かれたカードやワッペンは、当時の子供たちにとっては、まさに“お宝”だった。